小規模農家に関するセミナー開催報告 2023.3.3 ②
【小規模農家に関するセミナー第1回開催報告(3月3日開催)②】
2023年3月3日、小規模農家支援をテーマにしたJaSPON会員向けのオンラインイベントを開催(※)しました。過去のご案内はこちら
2人目のゲストは、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の小規模農家支援プログラム代表代理を務めるグントゥール・カヒョ・プラボウォ氏です。インドネシアとマレーシアのパーム油生産農家のうち実に40%を占める小規模農家(小農)に対しRSPOがどのようにアプローチし、支援を行っているかについて具体例を示しながらお話くださいました。
世界には700万以上の小農が存在しており、その規模ゆえに持続可能なパーム油生産のための資源や知識を持っていません。彼らの参加を促進するRSPOの活動は、環境保護の面で重要なだけでなく、何百万人という人々が持続可能な生活から取り残されないようにするためにも重要です、とグントゥール氏は言います。
小農には大きく分けて2つのタイプがあり、そのどちらに対してもRSPOは重要な役割を果たしている、とグントゥール氏は続けました。RSPOは生物多様性の保全と野生動物の保護、温室効果ガスの排出削減、公正な労働慣行の促進といった持続可能な慣行が採用されているかどうかを確認するために、具体的な基準や認証制度を策定している、と話します。
またRSPOは小農を支援するための戦略を3つ持っており、パーム油の生産性を上げるための情報や具体的な施策に小規模であるがゆえに得ることのできない農家をバックアップし、彼らがRSPOで生産性の向上に取り組むことができるよう、支援を続けています。パーム油の生産量を増加するための能力開発だけではなく、それを財政面で支えるためのサポートも積極的に行っているとのことでした。
グントゥール氏は「小農が認証を取れるようにするには第三者のバックアップが欠かせません。サプライチェーン上にいる企業による直接的な投資が求められます」と話しました。
インドネシアで行ったプロジェクトの例では、企業とともに小農支援に取り組んで5000以上の小農を支援し、生産性向上、国際認証の取得、認証パーム油販売によるプレミアムの収入獲得に貢献できたそうです。
質疑応答のセッションではRSPOのクレジット認証についての質問がありました。「クレジット購入による小農支援と小農から直接的に認証油確保することはイコールではないと認識がある」との質問に対し、グントゥール氏は「小農が持続可能なパーム油生産に取り組むとき、クレジットがなければインフラを持たない小農は搾油工場やトラックを持つ企業に依存せざるを得ない状況が生まれます。将来的には少量でも小農からのパーム油もトレーサビリティが維持できるようにしたいのですが、現在は移行期間であると認識しています。パーム油農家全体の40%が小農である状況では、まだまだクレジットは必要です」と回答しました。
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